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関節リウマチの症状
発症早期に診断し、適切な治療を開始することが大切です。両側の手首・足首や手指・足趾の関節が腫れて痛み、朝起きた時にこわばりを感じるのが典型的な初発症状です。対称性に起こる手・足の関節炎がこの病気の特徴ですが、膝・肘・肩・股関節などの大きな関節にも広がり、進行すると痛みや変形のために日常生活に支障をきたすようになリます。従って、発症早期に診断し、適切な治療を開始することが大切です。
どの年代でも起こリますが、特に20歳代から50歳代に多く発症します。病変が手や足にとどまる軽症型から全身の関節に広がる重症型まで症状は多彩です。自己免疫疾患に分類される病気ですから、関節炎の他に微熱、全身倦怠感、貧血などの全身症状を伴うことがあります。関節リウマチの手・足の変形
- 手指や足趾の関節が破壊されると、白鳥のくび変形やボ夕ン穴変形と呼ばれる手指の変形や、外反母趾や鷲爪変形などの足趾の変形が起こります。
関節リウマチの脊髄の圧迫
- 第一頚椎と第二頚椎の間の関節に病変が起こると第一頚椎が前方にずれて脊髄が圧迫され、四肢麻痺や呼吸障害の原因になることがあります。
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関節リウマチの原因・病態
自分の組織を自分のものではないと判断して攻撃する、自己免疫性疾患と考えられています。明確な原因は不明ですが、何らかの原困で免疫系に異常がおき、自分の組織を自分のものではないと判断して攻撃する自己免疫性疾患と考えられています。関節液を作り関節内の異物排除に関与する滑膜という組織が異常増殖して関節を壊しますが、その過程で免疫に関わるリンパ系細胞に異常がおき、炎症性サイ卜力インと呼ばれる活性物質が関節を壊す大きな原因になっていることが判明しました。遺伝性疾患ではありませんが、この病気にかかりやすい遺伝的素因が存在します。風邪症状や外傷の後に発症するケースも多く、発症に環境因子が関与していることは間違いありません。最近、喫煙が発症や増悪の危険因子になることが指摘されています。
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関節リウマチの診断
早期診断のため、2010年に米国・欧州リウマチ学会から新しい分類基準が提唱されました。原因不明の疾患であるため、診断の決め手となる臨床所見や検査データはありません。このため、1987年に米国リウマチ学会から提唱された分類基準によって診断されてきました。この基準によれば、@1時間以上持続する朝のこわばり、A3ヶ所以上の関節炎、B手の関節炎、C対称性関節炎、Dリウマトイド結節、E血清リウマチ因子、FX線写真上の変化、の7項目中4項目以上を満たす場合に関節リウマチと診断されます。
しかし、最近になって関節破壊は発症後2年以内に急速に進行するため、早期に適切な治療を開始することが重要であることが明らかになってきました。早期診断のため、2010年に米国・欧州リウマチ学会から新しい分類基準が提唱されました。これによれば、腫脹または疼痛のある関節の部位と数によって1、2、3、5点、 リウマ卜イド因子または抗CCP抗体の抗体価によって2、3点、6週以上の罹病期間で1点、炎症反応陽性で1点のスコアづけが行われ、6点以上を満たす場合に関節リウマチと診断されます。2010年に米国・欧州リウマチ学会が提唱した分類基準
各項目ごとにスコアづけが行われ、6点以上を満たす場合に関節リウマチと診断- 腫脹または疼痛のある関節の部位と数によって
- 1、2、3、5点
- リウマ卜イド因子または抗CCP抗体の抗体価によって
- 2、3点
- 6週以上の罹病期間
- 1点
- 炎症反応陽性
- 1点
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関節リウマチの治療
関節リウマチ治療の主体は薬の服用です。薬の服用
関節リウマチ治療の主体となる治療法で、疾患の進行を抑制する抗リウマチ薬、生物学的製剤、炎症を抑える非ステロイド性抗炎症薬、副腎皮質ステロイド、免疫抑制薬が用いられています。この病気は進行性に関節を破壊して重篤な機能障害を引き起こし、生命予後にも影響を及ぼすことが明らかになっています。従って、診断がついたら抗リウマチ薬を主体にして早期から積極的な治療を行うという考えが主流になっています。
抗リウマチ薬にはいろいろな種類がありますが、メ卜トレキサートの間欠投与(週1〜2回内服)が最も効果が高く、関節リウマチ治療の中心的薬剤となっています。治療の効果は数ヶ月ごとに検討され、効果が見られない場合は薬剤の追加や変更が行われます。抗リウマチ薬で効果が得られない場合や急速な進行が予測される場合は、炎症性サイト力インやリンパ球の相互作用を抑える生物学的製剤が用いられます。
抗炎症薬、ステ口イドは日々の症状改善のための補助的な薬剤として使用され、免疫抑制薬はこれらの薬剤で疾患の活動性をコン卜ロールできない場合に用いられます。リハビリテーション・物理療法
運動療法によって筋力を強化し、関節可動域を維持します。温熱療法などの物理療法によって関節痛を緩和します。装具によって関節を保護し、不自由な動きを補完します。手術
腱の断裂や脊髄・末梢神経の庄迫は、手術によって治療するしかありません。限局した関節の腫脹は、滑膜切除術によって改善することができます。一般的には関節鏡視下に行われます。頚椎や手関節の不安定性に対しては、関節固定術が行われます。膝、股、肘、肩、手指などの関節破壊による機能障害に対しては、人工関節全置換術が行われ、良好な成績が得られています。-
人工膝関節
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人工股関節
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- 資料提供
- 公益社団法人 日本整形外科学会
- エーザイ株式会社